EAP・従業員援助プログラムとその活動
- 企業のアルコール問題
- EAPとは
- A社とEAPの取り組み
- 予防活動
アルコール・デイ・ケア
アルコール依存症とは何か
- 誰でもなり得るアルコール依存症
- アルコールの「毒性」
- アルコール依存症の「薬物」
- もう一生上手に飲めない
- アルコールによる臓器障害
- アルコール依存症の精神症状
- アルコール依存症の経過
- アルコール依存症の予後
アルコール依存症とミーティング
- 自由に語れる場
- ミーティングの導入
- 午前・夜間のミーティング
- クリニックでのミーティングの必要性
- 実践から
アルコール依存症と家族
- 1枚のポスターから
- 家族への関わり
- 個別面接を通して
- アルコール依存症家庭の暴力と虐待
アルコール依存症と自助グループ
- 私と自助グループ
- AAとの出会い
- 断酒会
- AA(Alcoolics Anonymous)
- TACH(Tokyo Alcoholic Club House)と私たち
アルコール依存症の家庭で育つ子どもたちの問題
- アダルトチルドレン(AC)とは
- アルコール依存症の家庭では何が起こるのか
- 子どもたちのとる役割行動
- 子どもたちをどう援助するか
- アダルトチルドレンは臨床の場でどう現れるか
- ACミーティング
アルコール依存症の回復
- 生き方を変える
- 飲酒夢
- 「同一化」から始まる回復
どうやって回復を推し進めるか
- 「新しい自分」の発見
- どうやって「新しい自分」を見つけるか
- 「新しい自分」を発展させるために
なぜクリニックなのか
- 入院治療から外来治療へ
- 高田馬場クリニック
- アルコール依存症と偏見
- 断酒継続のための通院
- なぜ酔った人の受診を断るのか
患者の断酒後に起こること
- 断酒後の問題
- 仕事やギャンブルへののめり込み
- 社会体験の乏しさ
- 心理的葛藤
- 暇
- 飲んでいるときと同じ言動
治療への導入・治療
女性とアルコール依存症
- 女性とアルコール
- なぜ女性ミーティングなのか
- 多様化する女性のアルコール依存症
- キッチンドリンカーのAさん
- キャリアウーマンのBさん
- 女性アルコール依存症者との関わりのなかで
専門家へのメッセージ
- アルコール問題で困っている医師たち
- アルコール依存症を見過ごす専門家たち
- なぜ“まず断酒”なのか
税務調査ならコチラ
>> 同族会社のための税務調査 >> 医療経営の税務調査対策 >> 税務調査に強い税理士紹介 >> 医療に強い税理士紹介
NEWS
- 12/6/13
- 書籍「社労士が見つけた!(本当は怖い)採用・労働契約の失敗事例55」6/13発売しました。
- 12/3/28
- 書籍「社労士が見つけた(本当は怖い)解雇・退職・休職実務の失敗事例55」3/28発売しました。
- 11/12/21
- 書籍「税理士が見つけた!(本当は怖い)事業承継の失敗事例33」12/21発売しました。
- 11/11/2
- 書籍「税理士が見つけた!(本当は怖い)飲食業経理の失敗事例55」11/2発売しました。
- 11/5/11
- 書籍「公認会計士が見つけた!(本当は怖い)グループ法人税務の失敗事例55」発売しました。
アルコール依存症はクリニックで回復する改定版はコチラ
アルコール依存症はクリニックで回復する
~高田馬場クリニックの実践~
新貝憲利(監修)
世良守行(編著)
米沢宏(編著)
アルコール依存症はクリニックで回復する
アルコール・デイ・ケア
なぜデイ・ケアなのか
アルコール依存症の入院は、アルコール専門病院において3ヵ月が主流になっている。それ以上の入院は社会性の学習を阻害し、彼らの病院に対する依存度を強化するものと
思われる。しかし、アルコール依存症の治療は3ヵ月で完了するものではなく、「退院後が本当の治療」と語る治療者が多くいるように、社会に出てから本当の戦いがあると考え
られる。
10年20年とアルコールづけの生活を続けてきた依存症者にとって、素面での社会生活の経験の乏しさは、断酒中の彼らを、対人関係や生きづらさなどの問題に直面させる。
さらにまた、職を失った人は、就労問題、生活の問題と多くのストレスを抱え込むことになる。こうした断酒中の問題に、依存症者の多くが耐えきれずに再飲酒することも少な
くない。このような困難な状況の中で、ゆっくりとひとつひとつ問題を解決し社会復帰へとつながっていく場がデイ・ケアといえる。
Tさんはアルコール専門病棟で3ヵ月の治療を受けたのち、クリニックのデイ・ケアに参加することになった。医師の紹介状には、“外泊中に一度飲酒があり、退院前になって
飲酒欲求が強くなったようであるが退院”、“妻が患者さんのペースをどこまで見守れるがとの記載がなされていた。我々はTさんがデイ・ケアで断酒を継続することを期待し
たが、通院1ヵ月位した時飲酒してしまう。その後もデイ・ケアを続けていたが、2ヵ月に一度位の間隔でたびたび飲酒、妻は彼の再三の飲酒に愛想を尽かして家を出ていってし
まった。しかし、Tさんにとって妻の家出は思いも寄らないショックであった。
その後、Tさんはデイ・ケアの仲間と断酒会に参加するようになり、抗酒剤を服用し断酒を継続しながら妻の帰りを待った。3ヵ月の別居生活の後、彼の断酒が継続しているの
を確認した妻は帰宅した。Tさん夫婦はその後5年間断酒会に通いながら断酒の継続をしている。
Tさんのケースは、妻の家出が彼の心に大きな変化を与えたものと思われるが、デイ・ケアという場所を中心に、自分の問題と正面から向き合うようになったことがいい結
果につながったようである。
一方、アルコール専門病院に入院しなくても、集中的に治療の行える場としてのデイ・ケアの活用の仕方もある。
Kさんは、29歳の若さでアルコール依存症の診断を都立病院で受けた。しかし彼は、精神病院のアルコール病棟での入院治療を拒否したため、医師からクリニックでの治療
を勧められ、当クリニックを受診した。受診した彼にクリニックの医師は、しばらく会社を休んでデイ・ケアヘ参加してみてはと提案した。彼は素直にクリニックの治療方針
を了解し、次の日から、クリニックで1日を過ごすことになった。その後彼は、会社に2ヵ月間の病欠の診断書を提出した。
1週間位したころ彼は「朝、家を出るとき仕事に行っている感覚になる。また、近所の人達も自分がアルコール依存症で治療を受けていることは知らないと思う。クリニッ
クのデイ・ケアで助かります」と語ってくれた。その後彼は、2ヵ月間通院して復職し、5年を経た現在も時々グループ・ミーティングと診察に来院して元気な顔を見せてく
れている。ちなみに彼は自助グループヘの参加はしていない。
Kさんのように断酒の必要性を感じ、積極的に治療を求めている人にとって、クリニックのデイ・ケアは大きな役割を果たしていると思われる。(世良)
本文中の「高田馬場クリニック」は現「慈友クリニック」となっております。